中古住宅に断熱性能を取り入れる。断熱材の種類と工法を知っておきましょう

公開日:2020/10/09
最終更新日:2020/10/10

お気に入りのエリアに見つけた中古住宅。築年数的にも断熱性能が不足していた場合、省エネや快適な暮らしのために断熱を取り入れていきたいですね。リノベーションの計画では、間取りや内装、外装、予算やスケジュールなど、考えて決めていくことが多いため、断熱材にも選択肢があることを知る機会が少ないかもしれません。今回は、断熱材の種類と工法をチェックして、ご家族のライフスタイル、こんな風に暮らしていきたいというイメージを叶える建材を選んでいけるようにしていきましょう。

断熱材の種類と工法

断熱材の種類は大きく分けて「無機質系」「発泡プラスチック系」「天然素材系」の３分類となります。工法は内断熱の充填工法、外断熱の外張り工法の２種類です。

断熱材の種類

大きく分けて３つに分類されます。ガラスや鉱物を利用した「無機質系」、プラスチック系原料の「発泡プラスチック系」、天然木材や紙、繊維を利用した「天然素材系」です。

無機質系

グラスウール
ガラスの原料・主成分シリカを高温で繊維状にしたものです。断熱材の中では最もスタンダードで安価となります。素材がガラス繊維なので、シロアリのような害虫被害、火災に強いという特徴があります。吸音性、防音性を有します。
ロックウール
鉄炉スラグや玄武岩など、耐熱性の高い鉱物を高温で繊維状にしたものです。石綿のようなものです。断熱性能が高いため、グラスウールより薄く加工することができます。延焼防止に効果があり、吸音性・防音性に優れています。

発泡プラスチック系

硬質ウレタンフォーム
発泡剤を加えて作った充填式の断熱材で、高い断熱性能と省エネ効果が期待できます。板状に加工されたものと現場で直接吹き付けるものがあります。透湿性や耐久性に優れています。価格は比較的高めです。
ポリエチレンフォーム
ポチエチレン樹脂を発泡剤で5倍から40倍に発泡させたものです。耐吸湿性、耐吸水性に優れています。屋外使用において耐性が高いという特徴を持ちます。
ポリスチレンフォーム
ポリスチレン樹脂を発泡剤で細かな気泡を持つように成型したものです。水や湿気に強く軽量で、緩衝特性、断熱性、耐水性に優れています。
フェノールフォーム
フェノール樹脂に発泡剤、硬化剤などを加えて作られたものです。耐火性や耐熱性に優れ、炎をあてても炭化するだけで、煙や有毒ガスがほとんど発生しません。そのため、不燃・準不燃材料の認定を受けています。高い断熱性能と耐久性を持ちますが、価格が高い素材でもあります。

天然素材系

セルロースファイバー
天然パルプほか古新聞紙などのリサイクル素材が主原料となっています。素材そのものに吸湿性・調湿性があるため、内部結露を防ぐことができます。薬品を添加し、防火性能や害虫予防にも効果的があります。
インシュレーションボード
木材から取り出した繊維質を板状に成型加工した断熱材で、軟質繊維板ともいいます。リサイクル木材や未利用木材を原料として使用しています。高い断熱性と吸放湿性を備え、内部結露を防ぎます。ホルムアルデヒド未使用となります。
羊毛ウールブレス
原料となる羊毛に、体に優しい防虫処理をしたものです。防虫効果は、半永久的に継続するとも言われます。羊毛の特徴により、湿気を吸湿・放湿するため結露対策に向きます。天然素材のため、環境負荷軽減になります。
炭化コルク
コルクの端材を利用し、炭化させたものです。コルクの特徴から分かるように、たくさんの空気を含み、断熱性・調湿性・吸音性に優れています。原料のコルク樫が有する防虫効果により、防ダニ効果を有します。環境負荷軽減素材ですが、価格は高くなります。

断熱工法２種類

ここからは２つの断熱工法を紹介します。内断熱と外断熱です。

内断熱は、壁の内側や天井裏に断熱材を敷き詰めて充填する工法のことです。断熱材の充填に偏りがある場合や湿度調整・水分の逃げ道がしっかり作られていない場合、内部結露につながるケースもあり、丁寧な施工が必要となります。

外断熱は、外壁の仕上げ材のすぐ内側に通気層を設け断熱材を張る工法です。家の外側を包み込みます。内部結露の原因を防ぐ優れた断熱方法ですが、内断熱に比べて費用が高くなります。

内断熱と外断熱のどちらか一方ではなく、両方を施工することも可能です。

中古住宅に断熱性能をプラスしましょう

断熱について詳しくはこれまでのコラムにおいても書かせていただきました。

「中古住宅は暑かったり寒かったりしそう。住まいの性能向上に断熱を」

「【寒くてつらい】そんなお部屋の対策法は？【ヒント:●●断熱】」

冬の朝、そろそろ日の出かなという時間から起きて、家族のお弁当や朝ごはんの支度をするお母さんにとって、体を縮めて台所に向かうことのない生活というのはどのようなものでしょう。おおらかに一日のスタートを切ることができそうです。冷暖房費の節約になるだけではなく、おうち生活がより一層好きになる、そんな家になっていくことでしょう。

私たちi-sumu（アイスム）設計は、現場経験と業界知識・情報などをもとに、ご家族のライフスタイルに合った暮らし方を考えるお手伝いをしております。中古住宅のインスペクションから、断熱診断や耐震診断等、安心して快適に暮らし続けることができるように、調査とリフォーム・リノベーションを行っております。お悩みやご相談ごとなど、お気軽にご連絡ください。

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